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2024年6月5日 抄読会 発表者:宮城良浩

論文名:Incidence and risk factors of bowel dysfunction after minimally invasive rectal cancer surgery and discrepancies between the Wexner score and the low anterior resection syndrome (LARS) score

雑誌:Surg Today. 2024 Jan 3.
   PMID:38170223

論文要旨

 括約筋温存手術(SPS)後の排便機能障害はQOLに影響する。各症状の発生率と危険因子を分析し、術後排便機能障害の評価ツールであるWexnerスコア(WS)と低位前方切除症候群(LARS)スコア(LS)のスコア間の不一致を検討した。直腸癌患者142例に術後2年まで質問紙調査を行った。腫瘍の位置と術前放射線治療は重症LARSの独立した危険因子であった。手縫い吻合(HSA)を伴う括約筋間切除はWS高値の独立した危険因子であった。HSAを受けた患者のうち、82%が水様便による失禁を経験し、パッドの着用が必要となり、ライフスタイルの変化に苦しんだ。軽症のLARS患者35例のうち、WSが高値であったのは1例のみで、80.0%が生活習慣に変化はないと報告した。75人の重症LARS患者のうち、58.7%はWSが低く、21.3%は生活習慣に変化はなかった。この研究結果は、SPS後に起こりうる排便機能障害を患者に理解するのに役立つ実用的なデータを提供するものである。WSとLSの相違点が明らかになったが、これらのスコアを臨床で活用するためにはさらなる努力が必要である。

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