沖縄初の膵・腎同時移植を行いました
このたび、60代のI型糖尿病+腎不全の患者さんへ、沖縄県で初の膵・腎同時移植を行いました。臓器を提供されたドナーの方に深く感謝申し上げるとともに、謹んで心よりご冥福を申し上げます。
I型糖尿病は自己免疫により膵島細胞が障害されインスリンが分泌できなくなる疾患であり、重度の糖尿病から腎不全を併発します。生活習慣などが原因となるII型糖尿病と異なり生涯にわたりインスリン注射が必要となり、透析と併せて患者さんのQOLを著しく損ねることになります。膵・腎を同時に移植することにより、順調に経過すればインスリン注射も透析もいらなくなるため、患者さんにとっては極めて有益な治療となります。
琉球大学消化器・腫瘍外科では、膵移植のエキスパートである大野慎一郎講師を中心に準備を進め、2021年に脳死膵移植施設に認定されました。数名の患者さんがすでに登録されていますが、このたび1例目の手術を腎泌尿器外科と連携して、無事に終えることができました。これで琉大病院では腎移植、肝移植に続いて膵移植の実績が加わり、沖縄県に新しい医療を提供できることとなりました。脳死臓器移植はドナーの方とそのご家族のご意志による提供によって成り立つ医療です。尊いご意志に沿えるよう、今後も全力で治療を続けてまいります。
臓器移植は外科や腎泌尿器外科のみならず、内科、麻酔科、感染症内科、放射線科、看護部、リハビリテーション科、薬剤部、栄養部などなど病院の総合力が求められ、県内唯一の特定機能病院である琉大病院ならではの治療です。引き続き沖縄県民の方々の健康を守るために尽力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

