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(ご家族から患者様への手紙)

2020年3月10日、当科第一例目の生体肝移植を行いました。高槻教授より報告します。

” 琉球大学病院で初の生体肝移植を行いました ”

本年3月、琉球大学病院で第1例目となる生体肝移植を行い、患者さんが無事に退院されました。40代の若い女性の方で原発性胆汁性胆管炎(PBC)という難治性の病気で肝硬変となり、全身の黄疸が強く予断を許さない状態と診断され、旦那様が肝臓の一部(全体の65%程度)を提供されて移植手術を行いました。手術時間は約10時間、自身の肝臓を全て取り出して旦那様の肝臓を移植し、すぐにいただいた肝臓が働いて順調に回復しました。

血液型が旦那様はA型、患者さんはO型と異なる組合せでしたが、いただいた肝臓を攻撃しないよう特殊な処置を行い、拒絶反応を起こすことなく経過しました。

大きい手術でしたので手術直後は集中治療室(ICU)に入りましたが、すぐにリハビリできるようになり、2週間で肝機能の数字が正常となり、3週間で元気に退院されました。手術の前は黄疸と身体のだるさでつらかったようですが黄疸もとれ、「身体がとても軽くなった、マラソンも走れそう。」と笑顔で話されています。肝臓を提供されたドナーの旦那様も手術後10日で退院され、社会復帰されています。

生体肝移植は日本では1989年に開始され、現在までに全国で9,000名以上の患者さんに行われて保険も適用される一般的な治療となっていますが、沖縄では数件しか行われていませんでした。琉球大学病院でも今まで70名以上の患者さんを県外の大学病院に送って手術してもらっていましたが、これからは自施設でできるようになり、患者さんの身体的・経済的負担が軽減されると期待しています。

肝硬変の患者さんをみている医療関係の方や、肝臓が悪いと言われている患者さん・ご家族からのご相談はいつでも受け付けておりますので、ご連絡ください。

琉球大学附属病院 第一外科教授 高槻光寿

医局員一同、緊張して臨みましたが、大きな合併症もなく無事完遂できました。4月からは、長崎大学から大野先生が当科に着任され、肝移植をはじめ肝胆膵の手術体制を充実させております。患者様のご相談、ご紹介など、ぜひともよろしくお願い致します。

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