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 当科にて、腹膜偽粘液腫に対して完全減量手術(CRS)を実施しましたのでご報告いたします。腹膜偽粘液腫は年間発症100万人あたり2~3例とされるまれな疾患で、世界的には腹膜切除を伴う減量切除(cytoreductive surgery:CRS)が標準治療とされてます。欧米ではセンター化され合併症の低下と長期成績の向上が報告されてますが、高難度・高侵襲の手術であり国内では限られた施設でしか行われておりません。
 私は腹膜悪性疾患治療における国内有数のハイボリュームセンターである国立国際医療研究センター外科に2年間国内留学する機会をいただき、多くの手術を経験し周術期管理を学ぶ事が出来ました。
 今まで沖縄県内の腹膜偽粘液腫の患者さんは、県外施設への紹介を必要としておりました。しかしながら沖縄県内の腹膜偽粘液腫の患者さんの負担軽減や治療成績向上のため、県内専門施設での治療導入が必要であったため、当科でも完全減量手術(CRS)を開始することとなりました。
 今回、国立国際医療研究センターより合田良政医師・稲垣冬樹医師を招聘し、手術を実施しました。患者様は無事に退院されました。ご指導を頂きましたお二人の先生をはじめ関係者各位のご協力に大変感謝申し上げます。(合田医師による腹膜偽粘液腫の解説記事: https://medicalnote.jp/contents/200415-001-PB)
 琉球大学病院を中心に県内施設と連携して、沖縄県内における腹膜偽粘液腫に対する手術治療を含めた集学的治療の確立を目標としております。当科では腹膜偽粘液腫に対する治療体制を整えておりますので、お困りの方はご相談ください。

林裕樹

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