医学生が日本膵・膵島移植学会に参加しました。
この度、医学生が第52回日本膵・膵島移植学会に参加しました。以下、参加した学生からの感想文です。
M.A.さん
この度沖縄で開催されました日本膵・膵島移植学会に参加しました。学会にがっつり参加するのは初めてで緊張しましたが、非常に充実した二日間となりました。まず、全国の多くの施設で膵移植や膵島移植、その研究が行われていることを改めて実感し、同時に自分が限られた視点の中で学んできたことにも気付かされました。普段は本学の先生方から教わることが多いのですが、たくさんの発表を通じて、他施設の先生方がどのような考え方のもとで医療を行っているのかを知る機会となりました。施設ごとに前提もアプローチも少しずつ異なり、同じ疾患、同じ手術でも課題が違ってくることが特に印象に残りました。初学者の私には内容の理解が難しい部分もありましたが、比較的テーマの狭い学会だからこそ、全体として全員で同じ方向を向いているような連帯感を感じ、学術集会の意義はこういうところにあるのだと思いました。また特別講演では、iPS細胞を用いてオルガノイドを作製しようとする試みが紹介されました。その過程で、課題の解決のために分野横断的な仮説を立ててそれを実証したり、また将来はオルガノイドの作成を外部に委託して市場を拡大させる構想があったりと、普段の臨床実習ではつゆも考えないようなアイデアのシャワーを浴びて衝撃を受けました。実はこれは一日の最後の演題で、始まる前は疲れもあって退席しようかと迷っていたのですが、いざ始まると強く引き込まれ、最後まで聴講できたことを嬉しく思いました。自分の可能性を信じてどこまでも進む熱のこもった講演を聴きながら、「こうあるべき」という王道のキャリアパスに自らを当てはめすぎていたことを自覚しました。研修医、専攻医、専門医と進んでいく道筋ばかりを意識し、将来をどこか義務として考えていたように思います。しかし、自分が本当に何を望み、何をしている時に心が動くのかという視点から将来を見つめ直してもよいのだと感じました。今後は与えられた道筋を辿るだけでなく、自分が心から納得できる道を模索していきたいと考えています。
T.K.さん
まずはこの様な学会への参加機会をいただきありがとうございました。私自身、臓器移植領域に興味があり、将来も移植に携わりたいと考えているため、非常に刺激的かつ有意義なひとときを過ごすことができました。中でも、膵島移植は再生医療の関連も深い領域であったため、膵島移植と再生医療両方の最新の知見について学ぶことができ、医学の進歩に感心させられました。ランチョンセミナーにて大野先生が講演されていた、沖縄で移植をやる意義についても、琉大で長期間実習を経験してきた自分たちからしてもかなり共感できる内容でしたし、より将来沖縄で移植医療の発展に寄与していきたいと思わせてくれるとても良い動機づけになった様に思います。自分も機会があれば学会にて発表したいと思いますので、今後もより一層勉学に励んでいこうと思います。
N.K.さん
今回日本膵・膵頭移植学会に参加し、膵移植医療の最前線に直接触れることができたことは、医学生として非常に貴重な経験となりました。普段の講義や実習ではなかなか得られない、実臨床に根ざした議論や最先端研究の内容を学ぶことができ、学会という場の意義を強く実感しました。ランチョンセミナー1では、大野先生の移植医療に対する強い情熱と使命感に触れることができました。特に、沖縄という地域で膵臓移植を行う意義として、医学生に消化器外科、肝胆膵外科、移植外科といった専門性の高い分野に触れる機会を提供することの重要性を挙げられていた点が印象に残っています。高度医療を地域で実践することが、次世代の医師育成にもつながるという視点は、これから進路を考える立場として大きな刺激となりました。特別講演1では、iPS細胞研究の最前線を牽引されている京都大学の長船先生のお話を伺うことができました。内容は専門性が高く、理解が追いつかない部分も多々ありましたが、移植医療におけるiPS細胞の現状や将来的な可能性について概観することができ、大変有意義でした。基礎研究と臨床応用が密接に結びつきながら発展していることを実感しました。全体を通して、自身の知識不足を痛感すると同時に、学会が果たす役割の大きさを改めて認識しました。将来は自らも症例報告や研究発表を通して医療の発展に寄与できる医師になりたいと感じました。 このような機会をいただきありがとうございました。
K.R.さん
今回、膵・膵島移植学会に参加させていただき、普段の実習や講義だけでは得られない多くの学びを得ることができました。特に印象に残っているのは、大野先生のランチョンセミナーです。これまでの琉球大学消化器外科の変遷について、とてもわかりやすくお話ししてくださり、現在の体制がどのような歴史の上に成り立っているのかを知ることができました。また、高槻先生や大野先生のこれまでのご経歴、長崎から琉球大学へと移られ、琉球大学で膵島移植をスタートされた経緯を伺い、大変感銘を受けました。私たちは「琉球大学で移植医療が行われている」という環境を当たり前のように感じていますが、それは決して自然に存在しているものではなく、先生方が長年積み重ねてこられた努力や研鑽の賜物であることに気づかされました。大野先生のプレゼンテーションの中で、「医療の中央集約化」という流れに必ずしも沿う形ではないかもしれないが、それでもこの地で移植医療を育ててきたことには大きな意義がある、というお話がありました。地方大学であっても、高度医療を担い、次世代を育てる環境を築いてきたことは、本当に貴重なことだと感じました。そのような環境の中で学べている自分は、とても恵まれているのだと改めて思いました。今回の学会参加を通して、医療は一人で完結するものではなく、先人たちの努力の上に成り立ち、さらにそれを次の世代へとつないでいく営みであることを実感しました。私自身も、将来は後進の助けとなり、誰かの道を拓くことができるような医療を行う医師になりたいと強く思いました。今回の経験を今後の学びの糧にしていきたいです。
M.S.さん
今回、膵・膵島移植学会に参加させていただいたが、正直なところ、全体的に内容を十分に理解することは難しかった。しかしその中でも、ランチョンセミナーで大野先生がお話しされていた「沖縄で膵・膵島移植を行う意義」については、私自身も考えながら拝聴することができた。そもそも移植医療を行うという時点で、患者を他県へ搬送して移植を受けさせることには一定の危険が伴うことは容易に想像できる。可能であれば沖縄で実施できる体制が望ましいだろう。しかし大野先生のお話を聞く中で、再現性の問題、需要数の問題、実施可能な医師の制限など、移植医療を実現する以前に解決すべきシステム上の課題が数多く存在することを強く感じた。人の命を一人でも多く安全に救うことができるのであれば、それを実現する体制を整えるべきである。しかし現実には、その思いだけで医療体制を構築できるわけではない。この現実を知ることができた瞬間でもあった。学会終了後に大野先生にお会いした際、「誰でもやればできるんだよ。だからこそ伝えたい」とおっしゃっていた言葉が印象に残っている。そこには、手技そのもの以上に難しい課題が存在しているのだと改めて感じさせられた。医師になる以上、生涯にわたり研鑽を積み続けることは当然である。しかしそれと同時に、医療システムと患者の命という現実の間にある課題をどのように乗り越えていくのかを考えることも、医師として重要な役割なのではないかと未熟ながらに感じた。学会から学んだことは他にも多くあるが、学生としてこの学会で得ることができた最も大きな学びは、この点である。このような貴重な機会をいただきありがとうございました。
学生にとっても、今回の学会参加はとても刺激になったと思います。当科では引き続き、学生が学外でも積極的に学び、知見を広げられるようサポートしてまいります。
