Machine learningを用いたCT画像解析による肝細胞癌の悪性度診断

琉球大学病院 第一外科で診療を受けられる皆様へ

研究課題名

【Machine learningを用いたCT画像解析による肝細胞癌の悪性度診断】

1.臨床研究について

 琉球大学病院第一外科では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。

今回の研究の実施にあたっては、熊本大学「人を対象とする医学系研究倫理審査委員会」および琉球大学「人を対象とする医学系研究倫理審査委員会」の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2022年3月31日までです。

2.研究の目的や意義について 

肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma; HCC)の悪性度をMachine learningを用いたCT画像解析により明らかにする事を目的とします。

九州肝臓外科研究会の多施設共同研究として多くの症例を集積することで、Machine learningを用いたHCCの悪性度に関する術前CT画像解析を実現します。HCCの悪性度に関する術前診断が可能となれば、必要十分な治療法(ラジオ波焼灼療法、肝切除、分子標的剤治療など)が選択できるようになる可能性があります。

3.研究の対象者について 

2000年1月1日〜2019年12月31日の期間に初発単発肝細胞癌(最大腫瘍径5 cm以下)に対して肝切除を受けた患者さんを対象としています。術前治療歴のある患者さんや肉眼的脈管侵襲のある患者さんは除外します。琉球大学病院ではおよそ20例が対象となります。また九州肝臓外科研究会に所属する施設で同期間に肝切除を受けた患者さんを合わせ、合計約2,700例を対象とします。

4.研究の方法について 

下記取得情報を記載した書類(症例報告書;CRF)を匿名化後に熊本大学大学院消化器外科へ電子メールで送付します。術前造影CTのDICOMデータを匿名化後に熊本大学大学院消化器外科へ送付します。研究者が研究対象者として適切でないと判断した症例は除外します。

術前CT画像のmachine learningにより、HCCの悪性度予測が可能か否かを検討します。

〔取得する情報〕

下記の情報を症例報告書(CRF)に記載して解析を行います。

  1. 術前情報:年齢、性別、身長、体重、糖尿病合併の有無、食道静脈瘤の有無、その他併存症の詳細、アルコール多飲の有無、HBs-Ag、HBc-Ab、HCV-Ab、WBC, %Neut, %Lymp, T-bil, Alb, AST, ALT, CRP,%PT, ICGR15、Child分類、肝障害度、AFP、AFP-L3、PIVKA-II、最大腫瘍径。
  2. 手術情報:手術日、系統切除の有無、腹腔鏡の有無、術式の詳細、手術時間、出血量、輸血の有無、輸血の詳細、在院死の有無、術後合併症の有無、Clavian-Dindo分類、術後合併症の詳細、術後在院日数。
  3. 病理学情報:腫瘍肉眼型、分化度(Grade)、低分化型成分の有無、fc、fc-inf、vp、va、vv、b、im、tw、非癌部 a、非癌部 lc、
  4. 予後情報:最終生存確認日、生死、死因、再発確認日、再発の有無、再発形式(肝 or 肝外)、再発の詳細、再発治療日、再発治療(切除 or 非切除)、再発治療の詳細。

術前造影CTのDICOMデータをDVDまたはCDにコピーし、匿名化後に熊本大学大学院消化器外科へ送付します。

研究のために集めた情報は、熊本大学の管理責任者(馬場秀夫)が責任をもって熊本大学消化器外科で2027年3月31日まで保管し、その後に個人を識別できる情報を取り除いた上で廃棄いたします。本研究のデータをもとに将来さらなる検討を行う可能性がありますが、その際には倫理審査委員会の審査を改めて受けた上で利用します。

5.個人情報の取扱いについて 

研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、琉球大学第一外科医局内のパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。この研究によって取得した情報は、琉球大学第一外科教授・高槻光寿の責任の下、厳重な管理を行います。ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

6.試料や情報の保管等について 

〔情報について〕

この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、琉球大学第一外科教授・高槻光寿の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

7.利益相反について 

 研究の結果および結果の解釈に影響を及ぼすような「起こりえる利益の衝突」は存在しません。

8.研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

9.研究の実施体制について 

この研究は以下の体制で実施します。

【本研究の実施体制】

・実施責任者:琉球大学大学院 消化器・腫瘍外科 教授 高槻 光寿

・実施担当者:琉球大学病院 第一外科 助教 石野 信一郎

熊本大学大学院生命科学研究部 消化器外科学講座 教授 馬場 秀夫 

熊本大学大学院生命科学研究部 消化器外科学講座 准教授 山下 洋市 

熊本大学大学院生命科学研究部 画像診断解析学講座 特任講師 中浦 猛

熊本大学病院 消化器外科 医師 中尾 陽佑

熊本大学病院 消化器外科 医師 松本 嵩史

長崎大学大学院 移植・消化器外科 教授 江口 晋

久留米大学 外科学講座 肝胆膵外科 教授 奥田 康司 

九州大学大学院 消化器・総合外科 准教授 吉住 朋晴 

宮崎大学 肝胆膵外科 教授 七島 篤志

佐賀県医療センター好生館 消化器外科 主任部長 北原 賢二 

大分大学 消化器・小児外科 講師 遠藤 裕一 

鹿児島大学 消化器・乳腺・甲状腺外科 助教 飯野 聡 

山鹿市民医療センター 外科 院長 別府 透 

国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科 部長 髙見 裕子 

福岡大学 消化器外科 助教 石井 文規 

福岡徳州会病院 外科 部長 乗富 智明 

鹿児島厚生連病院 消化器外科 部長 迫田 雅彦 

北九州市立八幡病院 消化器・肝臓病センター 副院長 岡本 好司 

佐賀大学 一般・消化器外科 講師 井手 貴雄 

山口大学大学院 消化器・腫瘍外科 教授 永野 浩昭 

長崎医療センター 外科 医長 黒木 保 

大分県立病院 外科 副院長 宇都宮 徹 

10.相談窓口について 

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。

相談窓口担当者: 琉球大学病院 第一外科 石野信一郎 連絡先:〔TEL〕098-895-1163    〔FAX〕098-895-1421