直腸癌術後骨盤内再発に対する術前治療および術式に関する後ろ向き研究

1.研究の名称

直腸癌術後骨盤内再発に対する術前治療および術式に関する後ろ向き研究

2.研究の対象

この研究は以下の方を研究対象としています。
2009年1月~2014年12月に当院で直腸癌術後骨盤内再発の手術を受けられた方

3.研究の目的及び意義

【背景及び意義】

直腸癌の術後再発には局所再発が最も多く、再発した病変を完全に切除することにより長期予後が期待されます。一方でこのような再発に対する手術は体への負担が大きく、術後合併症も多く、術後の生活の質(QOL)も損なわれることが多いため、手術が可能かどうかは慎重に判断する必要があります。また、手術可能と判断された場合でも根治性を高めるために、術前治療をおこなうかどうかや切除する範囲について十分に検討する必要があるが、現時点では標準化された方法はありません。今回の研究では琉球大学医学部付属病院で直腸癌の術後に発生した骨盤内再発の患者さんの記録を見直すことで、患者さんの様々なデータと治療成績の解析を行うことで、最適な治療法を検討していくことを目的としています。直腸癌の術後の再発した時点における病変の広がり方の評価は術前治療の必要性や切除範囲の決定にとても重要で、また手術後の病理検査結果や予後と比較することで最適な治療法が確立することができれば今後の直腸癌術後に発生した再発に対する治療として重要な研究となります。

【目的】

今回の研究では、直腸癌の術後に骨盤内に再発を生じた患者さんに対する手術に関する術前治療と切除範囲について画像所見(CT,MRIなど),病理検査結果,短期(手術時間や合併症など)、及び長期(長期予後)成績について、過去に手術が行われた患者さんを対象として、データ解析を行い、直腸癌術後の骨盤内再発に対する術前治療および術式について最適な治療法について検討します。

4.研究方法及び期間

【研究方法】

琉球大学医学部付属病院で対象期間中に手術が行われ、条件に適合する患者さんの臨床データを、この研究の事務局である琉球大学医学部消化器・腫瘍外科学講座で保管し、統計解析をおこないます。臨床データは以下の評価・解析方法で解析を行います。
直腸癌術後に骨盤内に再発した患者さんを対象とし、術前の臨床データと病理検査結果,短期(手術時間や合併症など)、及び長期(長期予後)成績の関連性について解析します。

【研究期間】

倫理委員会承認日から2021年12月31日までです.ただし,しかるべき手続きを経て変更することがあります.

5.使用させていただく情報について

本院におきまして、既に大腸癌の手術を受けられた患者さんの臨床情報(情報)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。患者さんの診療記録より、年齢、性別など(情報:下記※1,参照)を収集し、この研究に使用させて頂きます。なお患者さんの診療記録(情報)を使用させていただきますことは琉球大学倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認され、琉球大学医学系研究倫理審査委員会の承認を得ています。また、患者さんの診療情報は、国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

※1 年齢、性別、検査データ、いままでにかかったことのある病気、手術の内容、併発症(手術が原因となって起こる別の病気のこと)、入院期間、手術後の経過・再発に関する情報、併存症(高血圧、糖尿病、脳血管疾患、呼吸器疾患、循環器疾患)の有無について

6.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益

この研究に参加していただくにあたり、新たな侵襲(新しく傷をつけたり、採血したり)はなく、金銭的な負担も発生しません。この研究に参加し、大腸がんの手術成績の改善につながれば社会への貢献も非常に大きいものと考えられます。

7.遺伝的特徴に関する重要な知見

この研究では遺伝子に関わる研究ではないため、該当しません。

8.健康被害に対する補償および賠償

この研究による患者さんへの新たな侵襲(新しく傷をつけたり、採血したり)はありませんので補償及び賠償もありません。

9.研究への参加は自由であること

この研究へ参加するかどうかはあなたの自由です。また,一度参加すると決めた場合でも,いつでも撤回することができます。同意されなくても,研究対象者等が不利益な取り扱いを受けることはなく,当院では同じように最善の医療を提供いたします。
ただし,同意を取り消した時すでに研究結果が論文などで公表されている場合のように,研究結果からあなたを外すことが出来ない場合があります。

10.個人情報等の取扱い

【匿名化の方法】

提供者の氏名を記号などに置き換えて、提供者の氏名が識別できないようにする匿名化を行います。ただし、必要な場合には提供者の特定が出来るよう、記号とその提供者の氏名が分かる対応表を保有しますが,この対応表は鍵のかかる金庫で保管します。

【公表の配慮】

この結果はきちんと記録し,学会や医学雑誌に発表されることもありますし, いずれの場合にもあなたのプライバシーに関するすべての秘密を保持することを保証します。

11.試料および情報の保存

【情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む)】

保存方法:本研究に関わるすべての情報は、この研究の論文発表後10年間は琉球大学消化器・腫瘍科学講座のパソコン(インターネットに接続されていない)にパスワードを設定し保存し、その後適切に破棄します。

12.他機関への試料・情報の提供

本研究は琉球大学医学部消化器・腫瘍外科学講座のみで行われる研究であり,同施設の研究責任者が保管・管理します。

試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
琉球大学医学部消化器・腫瘍外科学講座 西垣大志

【試料・情報の取得の経緯】

本研究に必要な情報は診療記録(カルテ)から取得します。

13.研究資金

本研究は,患者さんのカルテ情報をもとに情報収集する研究ですので、試験期間中に患者さんに費用的負担が発生することはありません。もし、万が一費用が発生した場合には公的な資金である琉球大学医学部消化器・腫瘍外科学講座の寄附金を用いて研究を行います。

14.本研究に係る利益相反

本研究は上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭及び個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反」は発生しません。

15.相談等の対応

【相談窓口】

担当者氏名:金城達也(きんじょう たつや)
連 絡 先:琉球大学医学部消化器・腫瘍外科
電話 098-895-3331(内線1163)

16.取得した試料・情報の将来の研究利用

この研究で取得した試料・情報について将来,別の研究に利用することはありません。

17.研究に関する情報公開

ご希望があれば,個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障を来たさない範囲内で,この研究計画の内容を見ることができます。詳しくは上記の相談窓口へお問い合わせください。

18.研究責任者

研究責任者:琉球大学消化器・腫瘍外科学講座 教授 高槻光寿