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 2025年10月30日、ベトナム、ホーチミンのThong Nhat Hospitalの50周年記念講演会に招かれ、講演およびTaTME手術に参加いたしましたのでご報告いたします。
 本企画は、国立健康危機管理研究機構(JIHS)による国際医療支援プログラムとして実施され、ベトナムの医療機関における外科治療の質向上を目的とした技術指導を行うものです。私は記念講演会にてTaTMEに関する講演を担当し、その後、同院の局所進行直腸癌の患者さんに対するTaTME手術を実施いたしました。
 講演会には外科スタッフおよびレジデントが多数参加され、非常に熱心に耳を傾けてくださいました。質疑応答では活発な議論が交わされ、ベトナムにおけるロボット支援下手術の普及状況や直腸癌治療の現況を踏まえ、TaTMEへの関心が非常に高いことを実感しました。特に手術手技の細部に関する質問が多く、同国でのTaTME習熟に向けた意欲の高さが印象的でした。
 手術は、本企画の責任者である聖隷浜松病院・佐藤純人先生が腹腔側アプローチ、私が肛門側アプローチを担当し、2チーム体制で臨みました。使用機器や環境が普段と異なる中での手術ではありましたが、ベトナムの外科医の先生方および手術室スタッフのきめ細やかなご配慮のおかげで、円滑に手術を遂行することができました。患者さんも術後合併症なく、退院されたと報告がありました。
 術後の懇親会では、若手からベテランの医師まで、多くの先生方から日本の大腸癌治療やTaTMEに関する技術的な質問をいただき、その熱意と探究心に強い刺激を受けました。これまでのアニマルトレーニング、カダバートレーニングに加え、今年は実際の手術を通じてより深い交流を図ることができ、私自身にとっても大変貴重な経験となりました。
 このような形でベトナムの医療発展に微力ながら貢献できたことを嬉しく思うとともに、私自身も多くの学びを得ることができました。今後は、琉球大学の若手外科医との交流の機会も広がればと願っております。

金城達也

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